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南極の行き方

Packed Ice

Weddell Sea を覆い尽くす

氷の上に降り立つ.

 

 

Paulet Island を目指すが,だんだん氷が厚くなってきた.進んだり,戻ったりを繰り返す.方角を変えたり,いきおいをつけたりしばらくがんばっていたが,しばらくしてついにアナウンスが入った.

「あまりに氷が厚く,着くのにあと4時間かかるので,氷の上で Afternoon Tea にしましょう!」

ブリッジで氷を割り進むのを見学していた乗客から歓声が上がる.


船から直接氷に降り立つ.

Packed Ice, Weddell Sea, Yuichiro Nakamura, 2001

見渡す限りの大きな氷原"Packed Ice"だ.後ろの船が Kapitan Dranitsyn.この足の下には極寒の Weddell Sea がある.ペンギンがひょこひょこ歩いている中にデーンと船が入り込み,その周りを散歩.クッキーとコーヒーを楽しんだ.


孤独に氷原の真ん中にたたずむ Adelie Penguin

Packed Ice, Weddell Sea, Yuichiro Nakamura, 2001

青い空のした,広い氷の平原にたたずむペンギンがこちらを見ていた.

この広い氷原のどこからどこへ向かっているかはわからない.氷の表面は白く,掘ると青く,かつてない幻想的な光景だ.


船を支える?

Packed Ice, Weddell Sea, Yuichiro Nakamura, 2001

氷はかなりしっかりしていて,船首までいってこんなことをしても OK だ.ここの上陸は階段を下りるだけなので部屋に荷物を取りに行ったり自由に出入りできる.

船員がどこからか自転車を持ち出してきて,氷原を乗り回す.みな思い思いに楽しみ,船へと戻っていった.夕食を今日は Vegetarian Food を選択してみたら,まずかった.夜南極半島でとった南極氷でアルゼンチンウイスキーを飲む.


Hannah Point

Livingston Island にある

様々な動物たちが暮らす島

 

 

2001/01/02 Tue. クルーズ5日目

朝「クジラがみえるよ」ってアナウンスがあったが,眠いのでパスしたら,クジラのジャンプが見えたらしい.悔しい.今日は South Shetland 諸島の人気スポットを巡る.ついにお待ちかねの「南極で温泉」もある.

朝食を食べている間に,船はリビングストン島のハンナ・ポイントに向かう.船のクルーズはのんびりしているうちに目的地に連れて行ってくれるのでなかなかいいかもしれない.

朝食の話題といえば,

「君は温泉に入る?」

だ.皆興味はあるが,今ひとつ尻込みして,かといって入らずに「Chicken!」とはいわれたくないし... と葛藤して駆け引きをしているのだ.もちろん僕は

「もちろん!」

と答えた.だってそのために水着を持ってきたし.


Elephant Seal

Hannah Point, Livingston Island, Yuichiro Nakamura, 2001

今日は波が高いので,カメラをビニール袋の中にしまい込み,Zodiac(ゴムボート) に乗り込む.

寒いのか,エレファント・シールが皆でごろごろと集まって寝ていた.たぶん真ん中のやつは外に出られない.


ペンギンの巣 上から見た図

Hannah Point, Livingston Island, Yuichiro Nakamura, 2001

海岸に沿って歩いていくが,人間の通る道はペンギンの通る道でもあるので,少し進むと前から後ろからペンギンがあるいてきて,彼らのじゃまをするわけにはいかないので,彼らのペースにあわせて人間がペンギンに混じって歩くという感じだ.

今は子育てのシーズンらしく,親一匹についてヒナが2匹ずついる.子供は割と小さくて,親の足下で暖まりながら寝ている.巣から離れられないので,お尻をちょっとあげて巣の周りに辺り構わずフンを飛ばす.結果,

巣の周りに放射状にフンの後が残る.

写真中央の,彼らが巣に敷き詰める小石は,貴重品で,これをよく取り合ってけんかしている.


Macaroni Penguin

Hannah Point, Livingston Island, Yuichiro Nakamura, 2001

Gentoo と Chinstrap Penguin の中に 3匹だけ Macaroni Penguin が混じっている.Gentoo と Chinstrap Penguin の中にちょっかいをだしにいく.なんか種類が違うのは一応わかるらしい.

マカロニペンギンは RockHopper などと同じく頭に黄色くふさふさした毛がある.


Deception Island

カルデラの島の中にある

鯨ステーションの跡地と

南極で温泉!

 

 

Deception Island はカルデラで,リングの1部分が切れていて,そこから中に入っていける.非常に狭い間を大きな船で抜けていく.

Whaler's Bay


 

Whaler's Bay, Deception Island, Yuichiro Nakamura, 2001

まずは Whaler's Bay に上陸.カルデラの切れているところがあって,海岸沿いにそこまで歩いていける.スキマに登って外を見渡すと,カルデラの外を見渡すことができる.空が青く,とても気持ちのいい景色だ.


Weddell Seal

Whaler's Bay, Deception Island, Yuichiro Nakamura, 2001

島の内側の浜で,Weddell Seal がひなたぼっこしていた.彼らは気持ちよさそうな毛におおわれて寝っ転がっていた.さわってみたい!


うち捨てられた船

Whaler's Bay, Deception Island, Yuichiro Nakamura, 2001

こはクジラをノルウェーがとっていたときの基地ののなごり.タンクとか小屋とかが残っている.

クジラの話題は日本人にとってつらい話題だ

一応調査捕鯨という名目にはなっているが,皆日本人が鯨を食べているという認識を持っている.もちろん科学的な議論はあるとは思うが,かわいい動物を食べるなんて!という感情を消すことはできないのかな,きっと.その話題が出るたびに,少し肩身の狭い思いをしなくてはならない.

Pendulum Cove


南極の温泉に入る

Pendulum Cove, Deception Island, Yuichiro Nakamura, 2001

18:00 お待ちかねの Pendulum Cove だ.何にもないビーチだが,海岸線から湯気が出ているのが遠くから見える.砂浜を少し掘ると暖かいお湯が出てきて,温泉につかることができる.

ここは「南極で温泉」のスポットだ.

皆南極装備の防寒着の下に,水着を着て Zodiac(ゴムボート) に乗り込む.ここでもまた「君は泳ぐつもり?」という牽制球が飛び交う.適当に冗談を交わしながらビーチに上陸.ビーチで急いで防寒着を脱ぐ.走って水の中につかる.

海岸を掘ると,熱いお湯が沸き出し,それと海水を混ぜてちょうどいい温度に調節する.ちょうどよい温度のところは限られていて,少しその Best Point から離れると,すぐに冷たい水になってしまう.

落ち着いて周りを見渡すと,ペンギンが何匹かいて,こちらをみている.実は,

「南極でペンギンと温泉」スポットだった.


南極で温泉に入った証明書

Antarctic Hot Tub Club

Pendulum Cove, Deception Island, Yuichiro Nakamura, 2001

スタッフがお湯につかっているひとをチェックしていた.なんでかな〜と思っていたら,後でこんな証明書をくれた.


 

Antarctica, Yuichiro Nakamura, 2001

南に進むにつれ,どんどん夜が遅くなっていく.Antarctic Circle をこえたところから白夜になる.夜 21:00 ぐらいでも,十分明るく,こんなにきれいな青空が広がっている.


Neko Harbour

- Antarctic Peninsula -

南極大陸を滑る!

2001/01/03 Tue. クルーズ6日目

昨日クジラのジャンプを見損ねたので,今日は早起きしてブリッジで見張ることにする.クジラは何匹も見ることができたが,1時間以上粘ったが結局クジラのジャンプには出会えなかった.残念.

ついに南緯65度まで南下してきた.66度33分の Antarctic Circle まであともう少しだ.しかし,旅行の予定はすべて前日の夕食の時間に発表されるので,最後まで自分がどういう予定で行動するかはわからない.これはほかの船も同じで,みな詳しい行き先は聞かされずにクルーズに参加している.

南極では,一度に上陸できる人数が制限されているので,ほかの船がいるとそこをあきらめざるを得ないことがある.詳しくは,IAATO のサイトを参照ください.


ペンギン道を歩く Gentoo Penguin

Neko Harbour, Antarctic Peninsula, Yuichiro Nakamura, 2001

ここは小高い丘になっていて,その丘の上の方にペンギンのルッカリー(巣) がある.そこと海岸をつなぐ 200m の距離には,ペンギンの幅の道ができあがっている.彼らはそこを仲良く並んで海に向かい,えさをとってまたルッカリーに戻っていく.その姿はとてもユーモラスで,それを見るとみなほほえまずにはいられない.


Neko Harbour をいく Zodiac(ゴムボート)

Neko Harbour, Antarctic Peninsula, Yuichiro Nakamura, 2001

海は鏡のように静かで,周りの景色が海に映り込み,かなりきれいだった.海に注ぎ込む氷河と,雪をかぶった山々,氷河から生まれ出た氷山,その浜の一つが南極半島の入り江, Neko Harbour だ.浜もよいが,そこまでのアプローチもまた幻想的ですばらしかった.


Emperor Penguin

Neko Harbour, Antarctic Peninsula, Yuichiro Nakamura, 2001

この Neko Harbour には Emperor Penguin がいるらしい.「海洋生物学者のブリジットが見つけたらみんなを底に案内するから」といわれていたが,

教えてもらうまでもなく,見たら一発でわかる

巨大な子供のペンギンが今度は,Gentoo のルッカリーの中に Emperor Penguin が1匹だけいた.明らかに他より大きく,身長は 1mぐらいはある.これは他のペンギンのだいたい倍だ.これでもすでに1年は経過して,すでに子供ではないらしいが, Emperor Penguin 特有の黄色い色が出ていなく,まだ産毛のままだ.残念.


南極大陸を滑る!

Neko Harbour, Antarctic Peninsula, Yuichiro Nakamura, 2001

この小高い丘の坂は,上からだんだん緩やかな坂になっていて,

雨具のズボンで一気に滑り降りることができる.楽しい!

Zodiac の迎えが来る時間までかなり時間があるので,氷河を眺めながらごろ寝する.今日は空が晴れわたって,気持ちのよい日だ.しかし,日差しは非常に強いので,念入りに日焼け止めを塗る.氷河はたまに小さく崩れ,音がそれを知らせる.

昼になって,また船に戻って昼食をとる.次の場所は結構近いので,割とゆっくり進む.このあたりの風景もまたなかなかすばらしい.


Paradise Bay

- Antarctic Peninsula -

あまりに静かで美しい Bay.

ここで流氷の一つに乗った.

 

ここで起こった幸せな出来事とは?

左に南極大陸,右に島の壁が迫り,その間をゆっくりとクルージングしてゆく.氷河があちこちにあり,クジラがたまに顔をだす.太陽がさんさんと輝いている.船の作る小さな波だけがこの海のさざ波となって広がり,海岸に消えていく.

このあたりはクジラの名所で,また何頭か見かけた.


雪崩が起きる

Paradise Bay, Antarctic Peninsula, Yuichiro Nakamura, 2001

Paradise Bay に入っていき,さらに波がなく,景色が海に映り込む.そんな "Paradise" のような湾で船を止める.

15:00 になって,Almirante Brown に上陸.ここにはアルゼンチンの基地があったが,人はいなく,いくつかある赤い色の建物のドアは閉じられていた.ここの小屋の裏を登っていける.上から Paradise Harbour を見渡すことができる.息をのむ美しさだ.登りはかなり急で,雪に足が埋まる.みな長靴だから,結構必死で急坂を頂上を目指して登る.帰りはらくだ.なんでって?滑って降りられるから!

ただし,右にそれると崖になっているので注意.

小屋の周りには,平らで風もしのげてちょうどよいのか,ペンギンがルッカリーを作っていた.氷河の中腹ぐらいから,雪崩が起こり,雪煙が上がっていた


流氷の一つに乗る

Paradise Bay, Antarctic Peninsula, Yuichiro Nakamura, 2001

15:30 この美しい Paradise Bay を Zodiac でクルーズして巡る.切り立った崖に,Blue Eyed Shag が巣を作っていた.さっき雪崩のあった氷河の下までいって,しばらく眺めた後,湾の中を Zodiacで氷山ぎりぎりに駆けめぐる.Zodiac ドライバーのサービスにはばらつきがあり,結構みな性格が違う.今回はジェイソンで,ちょっとそこまでやっていいのかな,と心配になるほど一番サービスのよいドライバーだ.彼は

僕を氷山の一つに乗せてくれた!

氷山は直径 3m ぐらいで割としっかりしていて,ジャンプしてもびくともしなかった.


南極の氷

Paradise Bay, Antarctic Peninsula, Yuichiro Nakamura, 2001

前にとった南極の氷はいまいちだった.この氷は中の気泡がなければないほど年を経て塩分のないよい氷で,今回はジェイソンにそういう氷を探してもらい, Zodiac に引き上げた.直径 50cm ぐらいで結構重く,がんばって船のバーまで運び込んだ.


南極の氷でウイスキーを飲む.

Paradise Bay, Antarctic Peninsula, Yuichiro Nakamura, 2001

その南極の氷でウイスキーをオンザロックで飲む.

よい南極の氷は,グラスに耳をつけると,「チリチリ」と空気のはじける音がする.実際その氷が何年たったものかはわからないが,透き通ってきれいな氷だった.


南極で起きた幸せな出来事

Paradise Bay, Antarctic Peninsula, Yuichiro Nakamura, 2001

さてさて,その Paradise Bay で起きた幸せな出来事とは...

Zodiac にタキシードを着たキャプテンのジョナスが乗っていた.なぜタキシード?

その Zodiac から Gangway を一人の男が女性をだっこして登ってくる.そう,

彼らはここで結婚式をあげたのだ!

ここは"Paradise"の名の通り,間違いなく世界で一番美しく,静かで,荘厳で,結婚するには他にないすばらしいところだ.スタッフのエリックと客室係のマネージャーのモニカが幸せなひとときを過ごしていた.さてさて.

翌日すでに彼らは働いていた.

 

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