LonelyPlanet
南極へ向かう 魔の海峡と
初上陸
南極で温泉! 南の果ての
郵便局と夕日
南極の行き方

 


Port Lockroy

世界最南端の郵便局

2001/01/04 Thu. クルーズ7日目

ついにお待ちかね,ポストカードの出せる日だ.昨日はエリックとモニカの結婚パーティーをバーでやっていたので,寝不足だ.6:30ぐらいにブリッジにいってみると,すでに何人も人がいた.偉い.昨日のうちに Neumyer Channel の入口まで移動していて,朝食の間海峡を通過していった.船の左右に氷河の山があって美しい.


世界最南の郵便箱

Port Lockroy, Goudier Island, Yuichiro Nakamura, 2001

8:00 に一番の Zodiac(ゴムボート) がでる.みな目的は一つ,郵便を出すことだ.皆ポストカードを山ほどもって,Port Lockroy へ向かう.昨日皆一生懸命書いたのだろう.船を下りると,人が建物のドアの鍵を開けてオープン.木で作られたその小屋はかなり年期が入っている.そのままみなどっとなだれ込んで切手とおみやげを買う.

だいたい 50人ぐらいの人が,1時間の間にすべての買い物を済ませるので,すごい渋滞だ.ここは本当に英国の Royal Mail の郵便局で,切手はイギリスの 37pence だ.US$で払うこともできるが,半端が丸められてしまう.だいたい @ US$0.85 だった.他にあまりデザインのよくない T-SHIRTS が US$20 とか,トレーナー,ぼうし,ボールペン,ポストカード,上陸証明書などなど.そこでの売り上げは南極をきれいにするために使われるとのこと.

この切手には,"British Antarctic Territry" とかかれていた.この件に関しては,イギリスは南極条約の採択に参加しているのだから,よくない.(詳しくは外務省南極条約のページを参照ください.)

また,ここではパスポートにスタンプを押してくれる


クジラの骨

Port Lockroy, Jougla Island, Yuichiro Nakamura, 2001

ここ Port Lockroy は人間がペンギンに与える影響を調べているため,よりペンギンに近づいて見ることができる.もうひとつ,人間に全く接しないペンギンのグループを用意して,比較しているとのこと.30cm ぐらいまでペンギンに近づいて,間近に眺めた.

ペンギンはおなかで氷を滑り,とても早く陸地を進むことができる.そのおなかは真っ白で毛並みがよく,気持ちよさそうだ.

さわってみたい(※),

とずーっと思っていたが,ついに果たせなかった.

※ ペンギンにさわるのはルール違反です.


Lemaire Channel

美しく入り組んだ海峡

 


水面に景色が映り込む

Lemaire Channel, Antarctic Peninsula, Yuichiro Nakamura, 2001

13:30 ちょうど昼食の時に Lemaire Channel に入っていく.また左右に陸が迫り,この先に果たして抜けられるのだろうか,と心配になるほどせまい.水面を揺らすものはなく,

景色は海に映って 2倍になった.

いままでにクルーズした中で,もっとも美しいところだ.世界中探しても,こんな風景はそうはないだろう. 流氷もわりとあり,何よりクジラが結構いる.


Pleneau Bay

氷山の間をクルーズ

Lemaire Channel の先に Pleneau Bay はあった.そこは流氷の宝庫で,Zodiac から間近にクジラを見ることができる.


氷山のトンネル その向こうに Zodiac

Pleneau Bay, Antarctic Peninsula, Yuichiro Nakamura, 2001

14:30 Zodiac で氷山の間をクルーズしして回る.いままでに体験したことのない大きな氷山の間を抜けると,いろんな動物たちの生活がそこにはあった.Crabeater Seal, Weddel Seal,Gentoo Penguin, そして Minki Whale.

氷山も様々な造形をしていた.だいたい水面の上に出ているのは,1/9 程度という.その下がどうなっているのかは想像もつかないが.


水面をジャンプする Gentoo Penguin

Pleneau Bay, Antarctic Peninsula, Yuichiro Nakamura, 2001

時折ペンギンが近くまでやってきて,船を見て方向転換する.だいたい水面から 30cm ぐらい繰り返しジャンプしながら泳ぐ.何のためにジャンプするのかはよくわからないけど,息つぎかな?


ミンククジラ Minki Whale

Pleneau Bay, Antarctic Peninsula,Yuichiro Nakamura, 2001

数回潮を吹いたり,背びれを披露したりして,優雅に泳ぐ.巨大な船が近づいてきても特に気にしていないようだ.

クジラがしっぽを出すのは深くもぐるときだ.さよならの合図といったところか.


Petermann Island

 

 


ミンククジラ Minki Whale

Petermann Island, Antarctic Prninsula, Yuichiro Nakamura, 2001

Pleneau Bay からさらに南下していくと,Petermann Island.ここでは,また Gentoo, Adelie Penguin が見られる.

Petermann Island


最後の上陸

Petermann Island, Yuichiro Nakamura, 2001

18:00 Petermann Island に上陸.ここにはまたペンギンたちが出迎えてくれた.だんだん空の雲がなくなり,青空が出てきた.太陽が氷山や氷河を照らす.最後に気持ちの良い上陸を楽しめた.


 

Sunset on Antarctic Peninsula, Yuichiro Nakamura, 2001

深夜 0:15 を回ったとことで,南極大陸に夕日が沈んでいく.ほぼ丸さを保ったまま,真っ赤になって沈んでいく.

あと2時間もすれば,また日の出の時間だ.ひとときの夜があけ,新しい一日がまた始まる.


 

Half Moon and Iceberg, Yuichiro Nakamura, 2001

決して真っ暗にならず,夕焼とも朝焼けともつかない複雑な空に月が浮かび,その下には氷山.(別名 Lonely Planet の表紙ともいう)

夕日を楽しんだ後,バーに行ってカクテルを頼む.


Antarctic Circle

南極圏

南緯66度33分を目指す.

そこから先が真の南極圏だ.

2001/01/05 Fri. クルーズ8日目

朝起きたら,まわりを氷山に囲まれていた.このクルーズは,目が覚めるたびに景色が変わる.今日は特に大きなイベントもなく,ただ Antarctic Circle にこだわって,南へ南へ下っていく.途中 Fish Islands を Zodiac でクルーズしたりするが,今日の目的はなんといっても Antarctic Circle だ.

はじめは Gangway と呼ばれる階段を下りて,Zodiac に乗り換えるのもこわごわだったが,今はどうってことないし,以前は必死でひもにしがみついていたが,いまはカメラを構える余裕がある.

Crabeater Seal, Adelie Penguin がいた.青い氷もきれいだし,空も青くてまずまずだ.氷山の中で一番すばらしいのは,全体にわたって真っ青で透明のもので,今までに1回しか見たことがない.たいていは途中に青氷の層が入っている程度だ.

Adelie Penguin のいる流氷に上陸したい!といったら,

「だめ」

とあっさり断られた.結構 Zodiac Driver によってやってくれる人とやってくれない人がいる.

 

Engine Room Tour


エンジンルーム

Engine Room of Kapitan Dranitsyn, Yuichiro Nakamura, 2001

13:15 Engine Room Tour に出発.この船は,スクリューを 3つもち,24,200馬力の出力を誇る.

プロペラからドライブシャフトまでみんなスペアがあって,交換可能になっている.しかし,ドライブシャフトは立てると3階建ての屋根まで届こうかという巨大な鉄のかたまりで,いったいどうやって交換するのだろう?

Antarctic Circle


祝杯をあげる

Antarctic Circle, Antarctic Peninsula, Yuichiro Nakamura, 2001

南極圏 Antarctic Circle の定義: 「地球上で南緯66度33分以南の地域を「南極圏」と呼んでいる.南極圏内では,南半球の夏期に太陽が沈まない白夜があり,冬季には太陽がまったく昇らないときがある.」

船の先端に居座る.なんといってもここが一番はじめに南極圏に入れるからだ.

「境界線みえる?」

「みえるみえる」

となどジョークをかわしつつ,みなでシャンパンをついでその時を,待つ.人がたくさん集まってきた.残り1kmぐらいのところでスピードが落ちる.初めて僕の GPS が真に役に立った.前に転職したときに前の職場にいただいたものだ.

あと 500m... あと 400m......あと 100m!

16:30 ついに Antarctic Circle 内に入った.船が汽笛を鳴らす.皆シャンパンの入ったグラスをかざした.


 

← マウスを当てるとGPS拡大

Antarctic Circle に入った!

お祝いのシャンパン

Antarctic Circle, Antarctic Peninsula, Yuichiro Nakamura, 2001

Antarctic Circle 内に入ったことろで一回上陸したいところだが,そうもいかないらしい.残念ながら船はゆっくりと時計回りにターンして,進路を変え始めた.


南極大陸に別れを告げる

Antarctic Circle, Antarctic Peninsula, Yuichiro Nakamura, 2001

南極大陸に別れを告げる.後はひたすら帰るだけだ.ここから無駄なく帰っていって,日本に着くのは 1/11.

今日は 1/5 だから,

帰るのに実に 7日間かかるということだ.

いやはや.


再びDrake Passage

再び Drake Passage の荒波を越え

Ushuaia をめざす.


2001/01/06 Sat. クルーズ9日目

外海に出ると,水平線以外何も見えなくなった.


酔い止めの薬

Drake Passage, Yuichiro Nakamura, 2001

船がまた揺れ始めた.行きのような激しい揺れではないが,それでも結構揺れる.

そういえば,昨日口笛を吹いてしまった.船乗りの中では,「口笛を吹くと嵐が来る」という迷信があるらしい.Drake Passage は嵐の名所なので,仕方ないか.

行きは自分がどれくらい船酔いをするか試してみたかったので薬は飲まなかったが,今回は逆に飲んでみることにする.薬を飲むと眠くなってしまうのだが,他にすることもないし,まぁいいか.


舳先に僕がいるのが見えますか?

Drake Passage, Yuichiro Nakamura, 2001

頼み込んで,ブリッジから波の中,舳先に立っているところを写真を撮ってもらう.

薬のせいか,頭がぼーっとしてずっと眠い.結構ねてばっかで過ごした.

TIPに対する説明があった.船員,スタッフ,レストランの人にTIPを渡す.US$10かける日数が相場とのこと.US$100を支払った.

夜日本に電話したついでに天気の具合を聞いてみたら,今は結構天気はいいらしい.これでもたいしたことないのか.

2001/01/07 Sun. クルーズ10日目

さらに船の横揺れが始まった.ブリッジにあがると,かなり左右に揺れを感じるが,5度ぐらいなので,行きの 38度からすれば,まったくたいしたことがない.


 

Farewell Dinner, Yuichiro Nakamura, 2001

最後のディナーのデザートの演出は,花火を立てたケーキだ.そういえば,今日誕生日の人は特別にケーキをもらっていた.

15:00 になって,Cape Horn を通過.ここは世界最南端の岬だ.チリ領で,軍事施設があるので,あまり近づくことはできない.3海里(5.4km)まで近づいて,ターンし,ビーグル水道を目指す.

Ship Account を精算する.いままでのバーでの支払いとか,レストランのビールとか,売店の支払いとか.カード,T/C 可.

2001/01/08 Mon. クルーズ11日目

ついに下船の時がやってきた.街のある大陸に上陸する.入港には税関審査があるとのこと.パスポートはその後で帰ってくる.11日間も乗っていると,船にも愛着がわいてくるし,乗客どうしも結構知り合いになっている.

下船すると,あらかじめ予約を入れておいた安宿にバックパックを担いで向かう.後は明日の飛行機でブエノスアイレス経由で帰るだけだ.

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