地球の歩き方
旅行データ イグアスの滝とタンゴ アルゼンチン
パタゴニア
南極へ!

 

Fits Roy
El Chalten, Argentina
期間 12/16 2000〜1/11 2001
通貨 US$ 1 = $1 Peso (2000)
航空会社 American Airline / Aerolinea Argentina
渡航費用 230,000yen (TYO-Buenos Aires往復)
US$900
滞在費用 US$1,000
国柄 ステーキのおいしい国でした.

 


El Chalten

パタゴニアの奥,クライマーあこがれの地

今回の旅行で一番行くのが面倒なチャルテン El Chalten へ向かう.どう面倒くさいかというと,

Buenos Aires - Rio Gallegos : 飛行機 3h14m
Rio Gallegos - El Calafate : バス 4h15m
El Calafate - El Chalten : バス 4h

という感じだ.EL Chalten には街らしい街はない.宿が数件と,店が2,3件.ここにくるものの目的は一つ.フィッツ・ロイ Fitz Roy だ.この山は世界屈指のクライマーたちが目指す難しい山だ.氷山で削り取られた美しい岩山だが,天候が安定せず,滅多にその姿を見ることはできない.

朝 6:30AM に El Calafate のバスターミナルに行って見る.誰もいない.乗り遅れるとまずいので,チケットを買った場所の前で腰をおろす.いや,誰もいないと思ったら,薄暗いバスターミナルで寝ているやつがいる.見ると,日本人だった.

「いや,乗り遅れたくなかったので,ここで寝てたんですよ.」

いやいや,気持ちはわかるが,アルゼンチンは比較的安全とはいえ,ここで身ぐるみはがされても文句は言えんぞ.

El Chalten では,どこでキャンプをするかはまだ決めていない.天気の変わりやすいとことなので,とりあえず行ってみて,天気を見ながら決めようといったところ.空は曇りがちで今にも雨が降りそうだ.バスで El Calafate から El Chalten まで4時間かかる.途中の道はすっと荒野が広がっていて,特にこれといった見所はないが,辺境の雰囲気でいっぱいだ.バスに乗っている人たちもだんだんと減ってきて,

最後は僕を含めて4人だけになってしまった.

El Chalten は,Pole to Pole 2000 に参加した石川氏 なども「この山を見てみたかった」といって立ち寄った場所.観光地ではなく,クライマーのための山,といった感じなのだろうか.


カプリ湖のキャンプ場で食事をつくる

Laguna Capri, El Chalten, Yuichiro Nakamura, 2000

村の入り口でレインジャーからこの町と,トレッキング,キャンプの説明をうける.地球の歩き方や,Lonely Planet もいまいち役に立たないので,念入り質問をして情報を収集する.テントを持ってきているのは僕だけだった.El Chalten は,本当に荒野の中にちょこんとあるだけの街で,道も舗装されていない.建物も木で作られた小さいものだけで,本当にパキスタンのフンザより小さい街はないかと思ってしまう.なんか街の人もよそよそしくて,アルゼンチン人特有のフレンドリーさがない.街には割と宿があるので,ここでとまることもできるが,ここまできてホテルはない.断然キャンプだ.隣の店で水を買い込んで,12:30にトレイルに入る.

さて,初日は適当なキャンプサイトへで設営して完了の予定だ.雨が降ったりやんだりしている.しっとりとした雨が,僕と僕の荷物をゆっくりとぬらしていった.レインジャーの説明によると,このあたりのトレイルは, Cerro Torre 側と, Fitz Roy 側に分かれていて,両方を同時に見ることはできないという.やはり,本命は Fitz Roy だ.道はかなりきちんとしてしっかりしている.高低差は400mぐらいの予定なので,たいしたことはない.看板もしっかり出ていて,迷うことはなさそうだ.背中にある荷物は,多分20kgぐらいだと思うが,このトレッキングだけのために削ったものではなく,南極に行くための装備や,旅行一般のための余計な荷物も持っているので,肩に食い込む重さだ.30分ぐらいすると,体にスイッチが入ったのか,割と楽になった.

あまり深くない森を抜けていくと,時折,山の氷河がちらちら見えたり,湖もあり,結構景色はよい. El Chalten の街もだんだん眼下に小さくなり,見えなくなった.途中で, Fitz Roy へまっすぐ向かう道から左に分岐して,2時間ほどで Lagna Capri カプリ湖に到着した.そんなに大きくない湖で,水はきれい.鳥がいない.多分魚もいなさそうだ.なべに水を組んで沸かし,マテ茶を入れた.マテ茶とは,アルゼンチンでよく飲まれているお茶だ.丸い容器にお茶を入れ,先端に茶漉しのついた金属のストローで飲む.


キャンプ場のトイレ

Laguna Capri, El Chalten, Yuichiro Nakamura, 2000

まだ 15時前なので,手紙を書いたり,湖の周りをぶらぶら散歩したりしてすごす.周りの山の景色は美しいが,肝心の Fitz Roy は雲に隠れて見えなかった.2週間まっても見えないかもしれないし,これjは運なのだ.12月末で,夏なのだけど,外はだんだん寒くなってきて,ついに雪が降り始めた.フリースを着込む.18:30に夕食にする.今日はカルボナーラだ.キャンプサイトには,数張テントが張られた.まだまだ明るい.緯度が高いので,22:00近くまで明るいのだ.


クリスマス仕様(クリスマスブーツ入り)の昼食セット

El Chalten, Yuichiro Nakamura, 2000

2日目.今日はクリスマスイブ.ひたすら雨だ.しかも寒い.温度計は 3度をさしている.ひたすら雨の割にはテントの中は乾いていて快適だ.明日も雨だったら,なきながらテントをたたもう.今日はこのキャンプ場でもう一泊を決め込む.特に急ぐたびでもなく,この湖のそばのキャンプ場は結構気に入ってしまった.

のんびりしているだけなので,特に腹も減らないが,

クリスマス仕様の昼食を取る.

どこがクリスマス仕様かというと,クリスマスブーツが入っているのだ.のんびりと考え事をしたり,山を眺めたりしてすごす.13:00ごろになって,晴れ間が出てきた.すかさず Lagna de los tres という,Fitz Roy の近くの氷河湖までいってみることにする.カメラと水と行動食だけかばんにつめ,テントのファスナーに南京錠を一応かけてキャンプ場を後にする.片道 3時間を見込んでいる.あまり余裕はない.道はずっとフラットで,かなり楽だが,ぬかるんでいる.1時間ほどで,Poincenot キャンプサイトに到着.この間かなり景色がよい.さらに 30分ほど進むと,Rio Branco キャンプサイトに到着.ここはクライマー専用なので,一般の人は泊まれない.その辺の木で作った小屋が公園管理事務所になっている.テントは思ったよりたくさんあって,奥まで20張りはありそうだ.みな天気を待っているのか,見た目結構刑装備そうにみえるが,どうだろう.

キャンプ場の入り口を左に行くと,いよいよ Lagna de Los Tres への道だ.ここはかなり急なのぼりで,手足を使って這うようにして登る.ぜいぜいいいながらひたすら上を目指していく.雪があって,氷結はしていないが,すべるので危ない.気をつけて登ってみると,1時間ほどで,Lagna de Los Tres についた.16:00 だ.


Lagna de Los Tres から Fits Roy を望む

Lagna de Los Tres, El Chalten, Yuichiro Nakamura, 2000

Fitz Roy は下のほうしか見られなかったが,別世界の雰囲気.すごいところだ.よく見ていると,登っている人がいる.リハーサルなのだろうか.本当はこの先に Fits Roy の雄姿が見られたはずなのだろうが,やはり雲がかかって見られない.サンタハットをかぶっていたら,トレイルであった人が怪訝そうな顔をしていた.うーん.受けると思ったんだけど.

雨が雪になり,急に視界が悪くなってきた.風も出てきたので,急いでおり始める.途中道を lost しそうになったが,左へ左へ降りていけば OKだ.18:30 にLagna Capri のテントに戻り,今日のために持ってきたビールを飲み,アルゼンチンのおいしいチーズをつまむ.今日の夕食はビーフストロガノフを作って食べた.うまい.食後のコーヒーをのんびり飲んで,22:00にはお休みなさい.よい一日だった.


カプリ湖からフィッツ・ロイを望む

Fits Roy, El Chalten, Yuichiro Nakamura, 2000

今日はテントを撤収して,18:00のバスで El Calafate に戻らないといけない.とはいっても,キャンプ場から El Chalten の街まで 2時間かからないので,のんびり.湖の脇の岩に登ってのんびり景色を眺める.

またコーヒーを入れる.今回,ホワイトガソリンが手に入らなかったので,愛用のガスコンロ Coleman Peak-I にガソリンを入れてきたのだが,すすでなべが真っ黒になってしまった.この国は,EPI, PRIMUS, Camping Gas のいずれのガスカートリッジも手に入らない.パタゴニアでは需要があってもよいと思うのだが,結構探して見当たらなかった.みんなどうやっているのかな.ねじ込み式の Camping Gas のカートリッジは見かけたが,もう 日本ではバーナー側が手に入らない.

一瞬雲が切れて,Fitz Roy が半分ぐらい見えたかと思うと,また新しい雲にすぐ隠れてしまったクライマーたちは,この天気の変化に一喜一憂しながら,天気がよくなるのを待ちわびているのだろうか.これで今回のキャンプは終わり.

18:00 El Chalten → 22:00 El Calafate

この El Chalten の地図は patagonia expedition で手に入る.(まぁ,現地に行ってから用意しても済む.)あと.このサイトはトレッキング情報も豊富.


El Calafate

パタゴニア,氷河への玄関口

El Calafate で 6:30 におきる.今日はEl Calafate の周りの表がめぐりクルーズだ.7:30 に pick up がくるといっていたが,果たして.朝食をレストランで食べながら,外にお迎えがこないか気を配る.眺めのよいレストランだが,それより客室の眺めをよくして,1Fの客室を止めたほうが客の受けはいいんでないかな.7:35 に迎えがきた.優秀.

この Calafate から行く氷河は,Perito Moreno ペリト・モレノ氷河と,Upsara ウプサラ氷河が有名だが,ペリト・モレノの方は去年に行ってしまったので,今回はウプサラ氷河のほうだ.ツアー代は US$120 とやたら高いが,このクルーズ船は独占状態なので,仕方がない.


氷河クルーズに出発

Puerto Bandera, Lago Argentino, Yuichiro Nakamura, 2000

多分やたら寒いと予想して,着るものを,タイツ,ジーンズ,ウィンドブレーカー上下,ダウンベスト,フリース,帽子,手袋と最強装備にする.案の定,船が走り出すと,あまりの寒さにデッキの人たちはみんなキャビンに引っ込んでしまった.


湖から後退してしまったセコ氷河

Glacier Seco, Lago Argentino, Yuichiro Nakamura, 2000

船はまず,ウプサラ氷河の方に進み,右に眺めつつ,セコ氷河の脇をとおる.このセコ氷河は地球温暖化の傾向か近年後退してしまっている.


スペガツィーニ氷河

Glacier Spegazzini, Lago Argentino, Yuichiro Nakamura, 2000

そのまま進んで,スペガツィーニ氷河の正面に出る.この氷河は100mを超える見ることのできる最大の高さの氷河で,青さが美しく,迫力もある.時折少し崩れるが,ペリト・モレノ氷河のようにはならないらしい.


オネージ湖

Lago Onelli, Yuichiro Nakamura, 2000

船は Onelli オネージ湖へのトレイルのある岸に着岸.ここには小屋があって,昼食を食べることができる.船までのバス(US$20),船(US$95),昼食(US$12 or 16)と3段階にお金を取られるわけだ.小屋はガラスの大きい,眺めのよいところだ.オネージ湖までのトレイルは 15分ほど.森を抜けると,青い湖が現れる.そこからさらに15分ほど湖に沿って歩いていける.氷河が3つ4つ流れ込んでいる.周りを高い山に囲まれ,そこの冠雪が固められて湖の氷となり,一生を終える.時折風の音に混じって,氷の砕ける音が寂しく響く.


ウプサラ氷河

Glacier Upsala , Lago Argentino, Yuichiro Nakamura, 2000

16:30にはウプサラ氷河の正面にでる.船のエンジンを切ると,周りの音が急に静かになる.氷の壁がすごい威圧感でそびえている.氷河の上には黒い筋が数本できており,氷河の流れてきた道をくっきりと表している.

Calafate の街に戻ると, カラファテ最後の夕食に高さ 4cm はあろうかというステーキを食べる.うまい.この国のステーキはうまい.

ペリト・モレノ氷河は 1999年に訪れました.それについては,こちらへ


Ushuaia

地球のはて

南極の玄関口

 


ウシュウアイアへのボーディングパス

Airport, Rio Gallegos, Yuichiro Nakamura, 2000

カラファテ El Calafate から ウシュアイア Ushuaia へ

また早起きして,朝 5:00 AM の Rio Gallegos 行きのバスに乗り込む.バスはちゃんとバスターミナルで待っていた.出発すると,バスの電気がすぐ消えた.寝ろ,ってことかな.5:00 El Calafate → 9:00 Rio Gallegos って感じだ.バスがカラファテを出ると,だんだんと山並みがなくなって,一面の荒野になった.地平線まで続いている.いかにも何もないところに,道はひたすら続く.乗車率は 3割ぐらい.まぁ,この時間のバスではこんなもんか. Rio Gallegos の街にいって銀行で両替をする.El Calafate にいる間両替ができなかったので,助かった.この Rio Gallegos は,バスターミナル,街,空港とそれぞれ離れているので,とっても不便だ.

空港でボーディングパスを渡される.

荷物タグ?

と思えるような適当なボーディングパスだ.手書きで,しかもコンピューターをチェックしていないから,本当に予約していない人が乗ってきたらどうなるんだろう?なんか飛行機も 1時間ぐらい遅れてきて,空いている席に適当に座ってくれ,って感じ.飛行機というより乗合バスみたいな飛行機だった.


ビーグル水道の灯台

Light Tower, Canal Beagle, Ushuaia, Yuichiro Nakamura, 2000

ビーグル水道クルーズ(US$33)

朝から激しい雨だ.ここは地球の最果ての地,南極までわずか 1,000km の地球最南端の街だ.どこそこなく,地球の果ての雰囲気がある.かつてここは流刑の街だった.その囚人たちがこの町を開拓した.今でも街には刑務所の博物館が残り,見学することができる.

そのウシュアイアの街はビーグル水道という細い海峡に面している.この水道は動物が豊富であることで有名だ.その水道を動物を見て回るクルーズは定番の観光ルートになっている.その折り返し地点には,小さな灯台があって,この赤と白に塗り分けられた灯台は,その南の果ての端っこの印の用に海の中の20mぐらいの小島に立っていて,旅行者をうら悲しい気分にさせる.このクルーズでは,いろいろな海鳥と, アザラシ Seal を見ることができる.長いクルーズでは,マゼランペンギンを見ることができる.


かに料理

Centolla Natural, Moustaccino, Ushuaia, Yuichiro Nakamura, 2000

ウシュアイアといったらカニだ.Moustaccio というレストランで,カニを頼む.最近はあまりカニを捕れなくなったようで,カニといっても缶詰が多いらしい.このウシュアイアにいる間に,3回もカニを食べてしまった.ちょっと食べすぎかな.


ティエラ・デル・フエゴ国立公園 ラドンデ島 Isla Radonde

Parque Nacional Tierra Del Fuego, Ushuaia, Yuichiro Nakamura, 2001

ティエラ・デル・フエゴ国立公園

まずウシュアイアから国立公園までのバスのチケットを買う.数社が別々の時間帯に,それぞれ勝手に運行しているので,往復のチケットを買わず,片道を買っていって,帰りは来たバスに乗って帰るのが良いと思う.往復でも安くならない(片道US$5,往復US$10).時刻表は観光案内所にある.ウシュアイア→国立公園は30分ほど.船着き場−ボート→ラドンデ島−ボート→ラパタイア−徒歩→ロカ湖のバス停と回ると,国立公園をぐるっと回ることができる.

他にもラドンデ島を目指す人が何人かきたが,ボート乗り場は開く様子が見られない.もう10:00を回っているし,今日はでないのか,そもそもボート自体存在していないのか.だんだん心配になる.

なんかボート乗り場の周りで家族がピクニック風の食事をし始めた.挨拶すると,甘いエスプレッソコーヒーを振る舞ってくれた.この国のコーヒーは甘い.いや〜優しい人たちだ.彼らもラドンデ島を目指しているんだろう,と思い,「ラドンデ島に行くんですか?」と聞くと,

「いや,俺がこのボート乗り場のおやじなんだ.」

なに〜!

ラドンデ島は背の高い木の茂る美しい丘のある島で,周りの海とそのまわりの山々が美しい.この島には小さな郵便局があって,パスポートを出すとぺたぺたはんこを押してくれる.お,粋なサービスかな,と思っていたら,

「US$0.50です.」

なんだ,金を取るのか.よく見ると,はんこに混じって切手が1枚張ってある.この切手代だ.

この島のトレイルは40分ぐらいで周りを一周できる.非常に美しいトレイルだ.この一周まわるトレイルとは別に,展望台(ミラドール)までの15分のトレイルもある.ここから島の周りを見渡すことができる.


ティエラ・デル・フエゴ国立公園

Parque Nacional Tierra Del Fuego, Ushuaia, Yuichiro Nakamura, 2001

ラドンデ島からまたフエゴ島側のラパタイアの湾にボートでわたる.またはじめのボート乗り場に戻ってラパタイアまで歩いていくこともできるが,時間がかかるので,ボートで楽してしまった.ラパタイア湾には,国道3合繊の終点がある.ここがアラスカからずっとアメリカ大陸を縦断する長い道の終点だ.

この湾から,ロカ湖のバス乗り場へのトレイルがのびている.この道もまぁまぁ美しいトレイルだ.この国立公園はおすすめだ.

次は> 南極へ!


イグアスの滝とタンゴ | アルゼンチンパタゴニア | 南極へ!