■ がっかりその1 マーライオン 国: シンガポール 予算: 60,000円 季節: いつでも
まず有名なのが,世界3大がっかりのひとつ,シンガポールのマーライオン.国のシンボルでもあるそれは,さぞすばらしいものだろうと思って見に行くというよりは,
もともとみなはなから存分にがっかりを楽しむためにその地を訪れるという(うそ).
海を向いている元祖マーライオン,その後ろにあるマーライオンの噴水.シンガポールの摩天楼をバックにすっくと立つが,シンボルというよりは遠めには白い棒が立っている程度にしか見えない「大きさ」ががっかりの決め手になっている.かつ,
マーライオンといったら口から水を吐いているべき
であるが,実際に水を吐いている姿を見るのはとてもまれであることもがっかりの一因と思われる.
そして世界中の観光客をガッカリさせた元祖マーライオンの汚名を返上すべく作られた高さ 37m もあるザ・マーライオンがある.これができてなおまだ人々をがっかりさせてやまないあたり,世界三大がっかりの名にふさわしい.
■ がっかりその2 人魚姫 国: デンマーク 予算 150,000円 季節: いつでも
コペンハーゲンの人魚姫アンデルセン童話で有名な,人魚姫の像で,1964年4月に首を切られてしまい,現在は修復されたものが乗っかっている.最近では
2003年9月に像全体が海中に落とされるという事件もあった.どうもその像の雰囲気から,いたずらせずにいられないものを感じるのだろうか.修復作業中は人魚姫ののっていた石しか見ることができず,全世界からやってくる旅行者はがっかりを感じることができずにとても残念がっているに違いない.そもそもこの像は,
そのひっそりとしたたたずまい,しかも周囲の景色の悪さ
から,がっかり感がもたらされるようだ.このあたりは個人では行きにくいところなので,「そのかけた時間」に対して見ることのできる像が今ひとつなのにがっかりする.
みなまわりの景色が映りこまないようにするのに必死なのだ.「普通に観光写真を撮ってしまうと背後に軍港が映ってし まうことも彼女には不幸だった」,などとある.しかし,「余計、人魚姫の薄幸さが感じられ」などとあるように,結構もともとひっそりしていること自体物語りにあっていると感じているのか,みな「がっかり感」をそもそも楽しみに訪れているのか,批判的な意見はあまり見られなかった.これでは「がっかり」の達成感があまり無いではないか.
ちなみにこのコラムの調査でしらべまわったら,どうもこの像を寄付したのはカールスバーグの2代目社長らしい.コペンハーゲンにある『カールスバーグビール会社』の本社工場にはその試作品の人魚姫像があるとのこと.こちらもぜひ行かねばなるまい.
■ がっかりその3 小便小僧 国: ベルギー 予算 150,000円 季節: いつでも
ブリュッセルの「小便小僧」.人魚姫との共通点は,どちらも小さいということ.やはり日本人には,
観光名所=奈良の大仏ぐらい巨大でないといけない
という先入観があるのだろうか.こちらも一様に「思ったほど大きくなく」「『小便小僧』が有名なわりにはとても小さなものだったので、意外だった」.こちらは全世界から服が届けられ,服を着ているときもあるらしい.銅像が服を着るということは,無理やり服を着せられた犬に通じるものがあると思うのですが,いかがでしょう?
小便小僧の前にはやはりがっかり観光地の定番,顔を入れて写真を撮ろう企画がある.しかも,この板,ちょうど左手が支えているあたりに穴が開いているのだが,これはどう使うのが正しいのだろうか?
小便ガールもいるが,ここはぜひ正統派に徹したい.やっぱし.やっぱ女の子は,ちょとねぇ.
■ がっかりその4 オペラハウス 国: オーストラリア 予算: 120,000円 季節: いつでも
さて次は,オーストラリア,シドニーのオペラハウス(公式ページ).総工費
1億2000万ドル (1973年落成) のオペラシアターを中心とした劇場・スタジオ・ホール・レストランなどの複合施設.
実は僕は写真は何度も見たことがあるけど,あの有名な三角の波みたいな形の建物がそれだそうです.知らなかった... 皆さんの意見を見ると,
「天気が悪かったせ いか、やはり大きいだけ」.「なんでがっかりなのかというと、中がぜんぜんつまらないんですよ」.などとやはり不評の様子.
しかし,ここで注目すべき点は,「やはり大きいだけ」というくだりである.このオペラハウスは大きいのだ.かつ,かなり目立っている.オペラハウスの屋根に「NO
WAR」の文字 シドニー などとイラクの戦争の時には目立つがゆえに事件もおきている.しいてがっかりの理由を分析するなら,「その質」が旅行者の望むレベルに達していない,これを見るためにシドニーまでやってきたのに,見たとたんにこの街に来た理由がなくなってしまった.ということだろうか.これが大きいだけでなく,自由の女神像のように,頂上まで外を眺めることができれば少しは旅行者の達成感も高まるのではないか.しかし,オペラハウスというからにはきちんとオペラも楽しんではじめてがっかりかどうかを判定しないといけないですね.
がっかりは世界各地に散らばっている.この機会に「がっかり」をテーマに世界を巡る旅行はいかがだろうか.
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