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アフリカ - モロッコ

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Merzouga

 

モロッコ地図 モロッコ地図
モロッコ地図

■いざ,サハラへ

モロッコ2日目.晴れ時々砂嵐.

朝フェズのホテルで朝食を食べに行くと,日本人の団体で貸し切り状態になっていた.しかも関西弁.めげずに中に入り,パンを取って食べると意外においしかった.そういえば,昨日のレストランで食べたパンもおいしかった.かつてフランスの統治下にあった影響か,本当にさくさくしっとりのおいしいパンだ.しかし,よく見ると,朝食はパンだけであった.でもおいしいから許す.

 

今日は,モロッコを東西に走るアトラス山脈を越えてサハラ砂漠に向かう.サハラ砂漠は今回の旅行のメインイベントだ.山道を400km移動しなければならない.朝7時半にはホテルを出る.大急ぎでフェズの町を抜ける.10分も車を走らせるとだんだん車が少なくなる.ちょうど学校に行く時間なので,子供たちが何人かずつ固まって道の脇を学校に向かう.みんな基本は歩くのだ.街を出ると,アトラス山脈が遠くに見える.地平線まで黄土色の土で覆われている.だんだんと道が上り坂になり,くねくねと曲がりながら高さを稼いでいく.

道は高速とはいうものの,片側一車線で路肩は舗装されていない.100km/hですれ違うので,追い越しは命がけである.

フェズ Fez
7:40
イフレーン Ifrane
8:40
アズルー Azrou
9:00
ブレーメン Boulemane
9:30
ミデルト Midelt
11:00
エルラシーダ Er Rachidia
12:50
エルフード Erfoud
14:00
リッサニ Rissani
14:30
Auberge du sud (メルズーガ Merzouga)
16:00

アズルー Azrou を過ぎたあたりで少し道に迷う.というのも,標識がとても乏しく,アラビア語とフランス語で書かれているのだが,本当に最後の最後にしか出てこないので,まずその標識にたどり着けず,あっても1回しか出ないので,見落とすとそこでおしまいだ.逆に良いのは,1km置きにマイルストーンがおかれており,「次の街まで○○km」と書かれている.これにはずいぶん助けられた.さて,フェズから来ているのに,フェズ行きの看板が出てきて途方に暮れる.

モロッコの羊飼い

羊飼い

Shepherd, Morocco, Yuichiro Nakamura, 2006

地図とにらめっこしながら何とかリカバーして目的の道に戻る.幹線を少しはずれると,すぐに穴がぼこぼこ空いた,幅の狭い道になる.少し路肩にはみ出さないとすれ違えない.しかも横は崖,という冗談抜きで真剣勝負の道を行く.しかし,こんな何もないところを歩いている人がいる.一体どこから来て,どこまで行くつもりなのだろうか?一番近い町から20km,というような地点をとぼとぼ歩いているのだ.

時折日干し煉瓦でできた「砂漠の家」がぽつんと立っている.あまりに普段の日常とかけ離れた風景が続く.フェズやマラケシュは「表のモロッコ」だが,アトラス山脈を越えた南の方は「裏のモロッコ」である.日本人が通るのがよっぽど珍しいのか,子供も大人も手を振ってくる.ほのぼのした優しい気持ちになる.

道路が片側一車線であるために,常に遅い車を追い越し続けないといけない.問題は,日が落ちると車で移動することがとても難しくなってしまうので,今日は昼食も食べずにひたすらにメルズーガ Merzouga を目指す.

アトラス山脈を越えていくと,山肌に沿ってくねくねと登っていく.木が全くといって良いほど生えていないので,ずっと遠くまで景色が見渡せる.その中に,その場所の土で作られた日干し煉瓦の家がとけ込む.

山羊や羊を放牧した人が羊をじっと見ながら立っている.例によって不思議なほど町から離れたところにいる.全てがからからに乾いていて,水を持っていなければすぐに人は死んでしまうだろう.

モロッコアトラス山脈

アトラス山脈

Atlas Mountains, Morocco, Yuichiro Nakamura, 2006

名もない町で車を止めて写真を撮っていたら,村人が寄ってきて「家の中を見たかったら案内するよ」と言う.こんな小さな小さな町にまで観光客目当ての人がいるとは.適当にあしらう.

街中では,時折警察が検問をしている.何を目的にしているかわからないが,何度も止められる.いろいろ聞かれるが,フランス語しか話せない彼らと,英語しか話せないこちらとで,会話が成り立たず,しばらく見つめ合った後に「もういいよ」という感じでおしまい.

■ホテルはどこ?

リッサニ Rissani というサハラ砂漠の手前にある最後の町で,宿の人と待ち合わせをしている.携帯で電話をかける.GSM携帯はこの国で問題なく使える.道に沿ってアンテナが立てられている.電話もなく,電気も自家発電であるサハラ砂漠の宿でも携帯電話だけは問題がないのが面白い.

携帯電話がつながると,リッサニのマーケットの前にある「カフェ・パラダイス」で待っていると言うが,どこにあるかわからないので,町ゆく人に聞いてみる.

「カフェ・パラダイスがどこか知ってる?」

「ホテルを探しているのか?俺に任せろ!」

「いや,カフェに行きたいだけなんだけど」

「わかった!ここで話を聞こう」

お互いに自分の聞きたい質問をするばかりで,会話が成立しない.無視して車を走らせると走って追いかけてくる.やっと店が見つかるが,今度は店の人が飛び出してきて,

「ホテルか?俺に任せろ!」

またこれだ.かまわず車の中から電話をかけるが,なかなか通じない.店の人は「窓を開けろ」としきりに車をノックしてくる.ホテルの人は「いま,町から20km離れたところを歩いて向かっている」という.「あ,そう,じゃ待っているね」と言って電話を切った後に我に返る.

「20kmを歩いて向かっている」って?

こちらが困っていると察して,車の外の客引きたちはがぜん張り切る.IDを見せたり,自分の名前を書いた紙を見せたり.モロッコに来た旅行者は,これで疲れ果ててしまうのだ.こんどは違うおじさんがやってきて,経済産業省の高橋○○の名刺を差し出す.意味が全くわからない.とにかく必死のあの手この手が面白い.ついに

「ホテルから迎えに来た」

という男が現れた.

「では,誰を迎えに来たのか,私の名前を言ってみろ」

というと,答えられない.問いつめようとすると,他の男が割り込んできて,勝手に話し始めた.ホテルの予約を持っていると悟ったようで,「インターネットで予約した」というと,「残念だね.インターネットの予約はダメなんだよ」とひとしきりがんばる.最後は,方針を変えて,「300DHでホテルまでガイドをしよう」と言ってきた.しかし,本当に目的のホテルに行ってくれるかわからない.一応「100DHならいいよ」と値切ってみる.150DHまで値段が下がったところで,携帯にショートメッセージが入る

Hi, please you take the road of merzouga, i'm waiting you in the half of the road.

英語が少し変なのは置いておいて,だから,その道がわからないから迎えに来てもらうことにしていたのに.しかし,歩いている彼を待っていては,一体いつになるかわからないので,自力で向かうことにする.「絶対に誰も信じるな」と彼は言うが,20kmも先を歩いているという奴がはたして信じられるのか,という重大な問題が残っている.とにかく太陽から方角を割り出して当てずっぽうで町を出る.自転車でのんきに走っているおじさんを呼び止めて聞いてみる.全然違う方向に向かっているらしい.必死で彼はフランス語で説明してくるが,全く通じないことを察して地図を書いてくれた.いい人だ.

モロッコサハラの砂嵐

サハラの砂嵐

Sand Storm of Sahara, Morocco, Yuichiro Nakamura, 2006

ついに正しい道に乗った."Merzouga" の看板を見つけたが,実際のホテルは道路からはずれた何もないところにある.ガイドなしで見つけるのはとても難しい.舗装されている道の左右は完全に砂漠.

モロッコのサハラ砂漠の中の検問

サハラ砂漠の中の検問

Checkpoint near by Merzouga, Morocco, Yuichiro Nakamura, 2006

しばらく行くと,警察が検問をしていたので,道を聞いてみた.方角は合っているらしい.

ホテル案内板:ここからはサハラ砂漠を行けという.

ホテル案内板:ここからはサハラ砂漠を行けという.

A Signboard Point to Desert, Morocco, Yuichiro Nakamura, 2006

ついに,道の脇に目的のホテル Auberge du Sud の看板が出てきた.ちなみに,このホテルを予約したときに,「地図ないの?」と聞いて返ってきたのはこれである.看板の所にホテルの彼が立っていた.「誰を迎えに来たのか,私の名前を言ってみろ」テストにも合格.ここからは,舗装道路をはずれて,サハラ砂漠の道なき道を走る.

■ついにサハラ砂漠に到着

砂嵐が吹き荒れ,ライトをつける.わだちは見えるが,道はない.正面には,サハラ砂漠の砂丘が見える.ついに来た.その砂丘のふもとに,日干し煉瓦の建物がいくつか建っている.道を外れてから約 8km.サハラの大砂丘をバックにホテルは建っていた.今年5月に洪水があって,半分くらい壊れてしまったところを,立て直している途中だった.

Auberge du Sud ホテルの部屋

Auberge du Sud ホテルの部屋

Auberge du Sud, Merzouga, Morocco, Yuichiro Nakamura, 2006

部屋はきれいで,温水も電気もある.この地にあってこれらは驚異的なことだ.階段を登って屋上に出ると,テラスになっていて,サハラの砂丘を見ることができる.

モロッコのサハラ砂漠を歩く

サハラ砂漠を歩く

Walking Around Dune, Merzouga, Morocco, Yuichiro Nakamura, 2006

早速サハラの砂を踏みに行く.思ったより固い.どこまでも砂である.まさに画に描いたような砂漠だ.ついに来た.砂嵐で砂が舞い,目を開けていられない.砂丘を転がってみる.

サハラ砂漠の中のホテル Auberge du Sud

サハラ砂漠の中のホテル Auberge du Sud

Auberge du Sud, Merzouga, Morocco, Yuichiro Nakamura, 2006

甘いミントティーを飲みながら明日のツアーの計画を立てる.適当に値切って決着.オーナーの「モハ」自ら同行するという.

「カリア」マトンのタジーン

「カリア」マトンのタジーン

Mutton Tagine, Merzouga, Morocco, Yuichiro Nakamura, 2006

夕食はいつものハリラスープ,パン,サラダ,そして卵とじマトンタジーン.このタジーンは砂漠地方のオリジナル料理で,「カリア」という名前が付いている.この旅行の中で,この「カリア」が一番うまかった.やけにおいしいので,おかわりする.

夕食後,外に出ると星がすごい.サハラの砂丘のシルエットと,満点の星,そして流れ星が少し.

モロッコ3日目.雨のち晴れ

朝4時頃,雨の音で目が覚める.砂漠で雨?と思い,窓の外を見ると「ピカ!ゴロゴロ」と雷.それも窓全体が真っ白に光り,ガラスが割れるのでないかと思うようなすさまじい雷だ.ものの本でも読んだが,砂漠だからといって,雨が降らない訳ではない.むしろ,砂漠で死ぬ人のほとんどは,乾きによるものではなく,洪水によるものだという.

サハラ砂漠の洪水

サハラ砂漠の洪水

Flood in Sahara Desert, Merzouga, Morocco, Yuichiro Nakamura, 2006

この建物自体,土にわらを練り込んで固めたものなので,あまり雨がふり続くと,とけて流れてしまう.天井が崩れていないか確認.そのうちまたうとうとと寝てしまった.砂漠から昇る朝日が見たかったので,朝7時に外に出てみる.エルフードから一日朝日ツアーに来ていた人たちが砂丘の上に登っているのが見える.しかし,一面の雲.朝日が見える可能性はないと見てまた別途に戻ると,また雨が降ってきた.ツアーの人たち,かわいそうに.

朝食はアラビアパンと卵,チーズ,オリーブ,このアラビアパン,砂漠にいるためか,やけにじゃりじゃりしている.サハラ砂漠も一緒に食べているということか.「オムレツ食べるか?」と聞かれたので注文すると,目玉焼きが出てきた.黙って食べる.9:30発で4WD砂漠ツアーに行く.まず北に向かい,東の方に大砂丘を回り込んでノマドのテントを訪問.

ノマドのテント

ノマドのテント

Tent of Nomad, Merzouga, Morocco, Yuichiro Nakamura, 2006

ここではおばあちゃんがミントティーをいれてくれた.ミントティーは脳がしびれるほど甘いのだが,慣れてくるとだんだんおいしく感じてきた.ノマドは,1テント1家族で,このような厳しい環境で暮らしている.良くある観光用のテントではなく,これは本物.望んでこの生活をしているのだという.ラクダの毛でできているテントは,目が粗いので雨漏りするだろう.おばあちゃんと子供しか見あたらないので,お父さん,お母さんは?と聞くと,井戸の水が無くなってきたので,移動するために水を探しに出かけているのだという.なんてこった.そんな貴重な水でお茶を入れてもらってしまい,申し訳ない.しかし,おばあちゃんは日本から来た客人のために,とてもうれしそうに接してくれた.しばらくすると,お母さんが水を持って帰ってきた.その様子がこのページのタイトルの写真になっている.

そのまま南に下っていく.東側はアルジェリアとの国境である.なので,あまり東には行けない.アルジェリアとモロッコは仲が悪いのだ.サハラ砂漠とは言っても,全てがさらさらの砂漠ではなく,土でできた「土漠」もたくさんある.ちょうどメルズーガにはシエビ砂丘という名前で,土漠の中に「砂の島」のようになっている.

メルズーガ:サハラ砂漠の真ん中を歩く

サハラ砂漠の真ん中を歩く

Walking Around Dune, Merzouga, Morocco, Yuichiro Nakamura, 2006

ここで雨がやんだと思うと,いきなり快晴.いままでの雲はどこに行ったのだろう.土漠ばかりではつまらないので,砂漠に突入してもらう.砂は柔らかく,砂丘は高いので,4WDはすぐスタックしてしまう.なので,砂丘の奥まで行くときは必ず2台以上で行って,脱出できるようにするのだという.やはり砂丘は楽しい.足を取られながら奥へ奥へといって写真を撮る.昔のフランス軍基地や,モロッコ警察の基地などがあって,丘に登ると砂漠が見渡せて気持ちがよい.

やはり砂漠といったらターバンだろう,と思い,買う.5mのもので,90DH(1242円).巻き方を教わって巻いてみるが,かっこよく決まらない.やはり日本人ではダメか.

メルズーガ:サハラ砂漠をラクダの集団が行く

サハラ砂漠をラクダの集団が移動中

Camel, Merzouga, Morocco, Yuichiro Nakamura, 2006

15時半にはホテルに戻り,軽くパンを食べてから「ラクダ砂丘ツアー」に出発.これはラクダに1時間半乗って砂漠の中に立てられたテントまで行き,一泊して朝日を見てから帰って来るというすごいツアーだ.

メルズーガ:日の沈むサハラ砂漠をラクダに乗ってテントに向かう

日の沈むサハラ砂漠をラクダに乗ってテントに向かう

Camel, Merzouga, Morocco, Yuichiro Nakamura, 2006

ラクダは前の奴のおしりと後ろの奴の頭がつなげられていて,一列になって進む.私が重いのか,時折「ブルブルブル」とうめき声の様な叫びを上げながらすこしずつ砂丘を登っていく.夕日近くなった太陽を浴びて,ラクダの隊列の影が砂漠にうつる.雰囲気は満点だ.ラクダで移動している間に,太陽は砂丘の中に消えていった...などと書いていくと,のんびりとした情緒あるラクダ行に聞こえるかもしれない.実際ラクダに乗ったことのある人ならわかるかもしれないが,ラクダは非常に揺れるのである.特に坂を下るときは,前後左右に揺れるラクダに必死で掴まり,おしりの痛みに耐えなければならない.30分もしたあたりから,楽しみは消え,ただの苦行になってしまった.砂丘を越えるたびに,テントが見えるのを期待してはがっかり,の繰り返し.

最後にテントを見つけたときは,手を離すと危ないので,心の中でバンザイした.

夕食はスープと,チキン・ナス・ジャガイモのタジーン.カレー粉で味付けされていて,ジャガイモがダシを吸ってとてもおいしくなっていた.

メルズーガ:テント内の寝床

テント内の寝床

Inside tent, Merzouga, Morocco, Yuichiro Nakamura, 2006

テントの中にはマットがひかれ,毛布が山積みになっている.これが寝床.毛布を3枚重ねたら,全く寒くなかった.

夜外に出ると,昨日に増してたくさんの星が見られた.ここではトイレはないので,適当に遠くまで行ってしろという.そういわれても,遠くまで行きすぎて誰かのを踏むのもいやだし,かといって,近くだと丸見えだし,困った物だ.満点の星空の下でするのも,なんか誰かに見られているようで落ち着かない.その一方で,とてもすがすがしい.

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